予算と目的に合わせたAIサービス選び方ガイド【2025年春版】

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読むより聞こう!

近年、AIサービスの進化は目覚ましく、私たちの仕事や学び、創作活動に大きな変化をもたらしています。数多くのサービスが登場する中で、「どれを選べば良いのか分からない」「自分の予算や目的に合ったサービスを知りたい」と感じている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、最新のAIサービスの中から、予算レベル(無課金、月20ドル程度、月100〜200ドル程度、それ以上)と目的(ビジネス職、開発者)に分けて、おすすめのサービスとその活用法を解説します。動画を参考に、私自身の視点で情報を整理し、あなたのAIサービス選びの一助となるような情報をお届けできれば幸いです。

まずは無課金でAIを体験する

「AIを使ってみたいけど、まずは無料から始めたい」という方向けの選択肢です。無料でも十分に高い性能を持つサービスや、AI開発の雰囲気を掴めるツールが存在します。

ビジネスユーザー向け:高性能な対話AIを手軽に

Gemini アプリ (Gemini 2.5 Pro / Flash)

◦無課金ユーザーのビジネス利用として、まずおすすめしたいのがGeminiアプリです。特にGemini 2.5 Proは非常に高い性能を持っており、IQテストやWeb開発、チャットボットアリーナといった様々な指標で高水準を記録しています。

◦コスパが非常に良く、今後のサービス提供者も利用を増やしていくと予想されるモデルです。

◦Gemini 2.5 Flashでも最低限の性能は確保されています。

◦とりあえず無料から始めたいビジネスユーザーは、このGeminiアプリから試してみるのが良いでしょう。

開発者・AI開発体験者向け:コード不要で開発に触れる

開発やプログラミングに興味があるけれど、まだ課金はしたくない、あるいはコードを書くのが苦手、という方向けには、以下のサービスがおすすめです。

TRAE

◦AI駆動開発やAIエージェントを活用した開発を「体験」してみたいなら、無料のエディターであるTRAEが良い選択肢になります。中国系の会社が提供しており、利用枠などに注意は必要ですが、Claude 3.7 Sonnetモデルなどを利用してAIと共同で開発を進めることができます。リクエストが共有スレッドのため、少し遅さを感じる場合もあります。最新のSonnet 4も利用できるようです。

Firebase Studio

◦こちらは「こういうアプリを作りたい」と指示するだけで、設計からステップバイステップでアプリを作り込めるサービスです。コードを意識せずにアプリ開発を体験したい初心者の方に特におすすめできます。以前流行したノーコード・ローコード系のサービスと比べて、Firebase Studioや後述のGoogle AI Studioが主流になりつつあるようです。チャット形式でAIと壁打ちしながら開発を進められる点も魅力です。

Google AI Studio (App Build機能)

◦Firebase Studioが一般的なアプリ開発向けなのに対し、Google AI StudioのApp Build機能は、GoogleのGemini APIを統合したAI搭載アプリの開発に特化しています。チャットボットアプリ、テキスト変換アプリ、画像生成APIと連携したアプリなど、AIを組み込んだ新しいアプリをゼロから動作検証しながらステップバイステップで開発するのに適しています。

◦無課金でも、Geminiを使ったチャット、そしてTra、Firebase Studio、Google AI Studioのいずれか、またはこれらを組み合わせて使うことで、ある程度のアプリ開発を試行錯誤できる可能性があります。この背景には、安価ながら高性能なGemini 2.5 Flashモデルの存在が大きいと言えます。

月20ドル程度の課金でレベルアップする

無課金での利用に慣れてきたら、月々20ドル程度の課金でさらに強力なAIツールを利用できるようになります。ビジネス用途か開発用途かで、おすすめが変わってきます。

ビジネスユーザー向け:質の高い壁打ち相手と多様な機能

Chat GPT Plus

◦ビジネス職の方で月20ドル程度の課金が可能なら、Chat GPT Plus が有力な候補となります。

◦契約することで、GPT-3 (動画撮影時点ではやや古い言及)、GPT-4 mini、GPT 4.1など、様々なモデルにアクセスできます。特にGPT-3には「天才性」があり、非常に鋭い意見を返してくれることがあります。これは一般的な対話AIとは異なり、ビジネス戦略を考える上でのブレインストーミングやアイデアの深掘りに非常に役立ちます。

◦画像生成機能、Deep Research機能、Canvas機能など、機能が非常に豊富で完成度が高い点もメリットです。

◦質の低いコンテンツではビジネスの参考にならないため、有料プランでより高性能なAIと対話できることは重要です。利用制限がかかった場合は、Gemini 2.5 Proと併用するのも良いでしょう。

◦ちなみに、月20ドル程度のClaudeのプランは、ビジネス職にはあまり推奨されていませんでした。

開発者向け:AI駆動開発の基礎ツール

Cursor

◦開発者が月20ドル程度の課金をするなら、Cursor を選ぶのがおすすめです。

◦CursorはAIを活用したエディターであり、Claude Sonnet 4などを手軽に利用できます。Claudeとの連携が強いのも特徴です。

◦開発者は手を動かして物を作る必要があるため、エディター上でAIの支援を得られるCursorは非常に効率的です。ファイル編集など、様々な活用方法があります。

◦現代のAI時代における開発者の「基礎ツール」とも言える存在です。

◦月20ドルの課金で500回のプレミアムリクエストが可能になり、これを超えても重量課金モードをオフにしておけば、低速ながらも利用を継続できます。

◦単体での利用はもちろん、Geminiと併用することも考えられます。さらに予算があれば、Chat GPT Plusと併用することで、天才的なアイデア出し(Chat GPT Plus)と具体的な開発作業(Cursor)を組み合わせるのが理想的です。

月100〜200ドル程度の課金で生産性を最大化する

さらに予算を投じられるなら、AIの能力を最大限に引き出し、生産性を飛躍的に向上させることが可能です。

ビジネスユーザー向け:質の高いアウトプットと多機能性

Chat GPT Pro (GPT-4 Omni Pro)

◦月200ドル程度の課金が可能なら、ビジネス職にはやはり Chat GPT Pro をお勧めします。個人的な体感では、GPT-4 Omni Proが利用できる点が大きいようです。

◦GPT-3の天才性を活かしたアイデア出しやブラッシュアップに加え、GPT-4 Omni Proでそれを具体的な言葉に落とし込んだり、まとめたりする作業を行う、といった使い分けが非常に有効です。これらのモデルを制限なく利用できることは、ビジネスの質を高める上で非常に重要です。

◦Chat GPT Pro契約者限定で、OpenAIの画像・動画生成サービスであるSora(動画中では空ラと聞こえるが、Soraのことと思われる)で画像を4枚同時に生成できる機能は、説明資料作成などで非常に便利です。

◦ただし、マクロな戦略立案など、特に高度な知性を必要としない場合は、必ずしもこのレベルの課金が必要ではないかもしれません。

開発者向け:開発タスクを劇的に効率化するゲームチェンジャー

Claude Maxプラン (Claude Code)Cursor の組み合わせ

◦開発者にとって、月100ドル程度の Claude Maxプラン は現状の「ゲームチェンジャー」と言える存在です。

◦Claude Maxプランを契約したアカウントで Claude Code を利用することで、非常に長い開発タスクや、複数のプロジェクトの並列実行などが可能になります。バグ修正の確認までAIに任せられるなど、そのタスク処理能力は従来のツールと比べて格段に向上しています。Cursorで扱えるタスク量を20とすると、Claude Code Maxプランでは100〜200といった体感のようです。タスクによっては完了までに20分、30分かかることもありますが、その間別の作業を進められます。

◦Claude Codeはエディターではなく、コマンドラインやターミナルから実行する形態ですが、固定料金(月100ドル程度)で利用できる点が、API経由で利用する場合と比べてコスト効率に優れています。API経由では、ちょっとしたタスクでもすぐに5ドル飛んでしまうようなコストがかかる可能性があります。

◦Cursorは、Claude Codeが苦手とする細かいコード修正やタブ補完といったエディターの基本機能、あるいは手軽なエージェント利用として補完的に活用するのがおすすめです。どちらか一方を選ぶなら、基本的なエディター機能があるCursorの方がまだ使いやすいと感じる場合もあるかもしれませんが、パワーで言えばClaude Maxプランの方が圧倒的です。

超高額課金でAI駆動開発の最前線を走る

予算に糸目をつけず、AI駆動開発の最先端を目指すなら、さらに高度なAIサービスの連携が視野に入ります。これは、120ドルや200ドルの枠には収まらない、無制限に近い課金を想定するレベルです。

Claude Code Action

◦Claude Codeの機能の一部であるClaude Code Action(Git Actions)は、GitHubと連携することで、GitHub上で@メンションするだけでAIが開発タスク(コード実装など)を実行し、プルリクエストまで作成してくれるという画期的な機能です。これはDevinのような使い方を可能にし、クラウド上でコード開発を完結させることができます。

◦例えば、GitHubのIssueを複数(例えば10個)同時に作成し、それぞれに対してClaude Code Actionでタスクを実行させるといった並列作業も可能です。流行りの活用法として、同じタスクをAIに複数並列で実行させ、最も良い結果を採用するといった方法も紹介されています。

◦ただし、この機能は基本的にAPI経由での利用となり、非常にコストがかかる点が特徴です。しかし、それに見合う破壊的な生産性向上ポテンシャルを秘めています。

Chat GPT Pro (CodeX含む) との連携

◦Claude Code Actionのような最先端のAI駆動開発と並行して、Chat GPT Pro を組み合わせるのも有効です。

◦Claude Maxプランで大規模なタスクを実行させつつ、Chat GPT ProのCodeX機能(以前は並列タスク実行に強みがあったが、現在は調整されているとのこと)を組み合わせてレビューさせたり、外出先からはCodeXでタスクを作成し、自宅ではClaude Codeで開発を進めるといった使い分けも考えられます。

◦Claude Sonnet 4は知能レベルが向上し、問題解決能力も高まっていますが、設計などのより抽象的なタスクにおいては、Gemini 2.5 Proなどと比較して物足りなさを感じる場合もあるようです。そういった部分をChat GPT Pro (CodeXやOpusモデル) で補うという考え方もあります。

AI駆動開発におけるモデル選びの重要性

AI開発に取り組む上で、利用するAIモデルの性能は非常に重要です。古いモデル(例えば昨夏によく使われていたGPT-4 5)や、最低限の性能しかないモデル(Gemini 2.5 Flashなど)で「AIは使えない」と判断するのは、適切な基準から大きく外れている可能性があります。

現在のAI駆動開発の最前線では、Claude 4(Sonnet 4 / Opus)やGPT-4 Opusといった、より高性能な最新モデルが使用されており、多くのユーザーがその能力に感動しています。最低でもClaude 3.7 Sonnet、可能であればClaude 4 Sonnet/OpusやGPT-4などの高性能モデルを選択することが、AI開発を成功させるための絶対条件と言えるでしょう。

Claudeの登場による変化と今後の展望

最近のClaude、特にClaude MaxプランやClaude Codeの登場は、開発者向けのAIサービス選びに大きな影響を与えています。以前は様々な選択肢がありましたが、Claudeの登場により、開発者にとっての有力な選択肢がかなり絞られてきた感があります。

とりあえず現状では、Claude Code を中心に据えておけば、AI駆動開発の大きな流れに乗れる可能性が高いと言えるでしょう。私の周囲でも、Claude Codeの評価は非常に高いようです。もちろん、個人の目的や開発スタイルによって最適なツールは異なるため、最終的にはご自身の判断が重要です。ビジネス職の方でも、AIエージェント的な活用をしたい場合などにClaude Codeを検討する価値はあります。

まとめ

AIサービスは、利用する予算と目的によって最適なものが大きく異なります。

無課金 なら、ビジネス利用にはGeminiアプリ、開発体験にはTra、Firebase Studio、Google AI Studioがおすすめです。

月20ドル程度 なら、ビジネス利用には多機能で質の高い対話が可能なChat GPT Plus、開発利用にはAIを活用した強力なエディターであるCursorがおすすめです。

月100〜200ドル程度 なら、ビジネス利用にはさらなる質の向上と便利機能が使えるChat GPT Pro、開発利用には開発タスク処理能力が飛躍的に向上するClaude Maxプラン (Claude Code) が、Cursorとの組み合わせで非常に強力です。

それ以上の高額課金 は、Claude Code ActionやCodeX連携といった、さらなる開発自動化や並列処理を目指す場合に検討されるレベルです。

常に最新の高性能モデルを利用すること、そして自身の用途に合わせて適切なサービスを組み合わせることが、AI時代における生産性向上の鍵となるでしょう。

AIは今この瞬間も進化し続けています。この記事が、あなたのAIサービス選びの一助となり、AI活用の可能性を広げるきっかけとなれば幸いです。

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