第1章:はじめに|なぜ今、補助金なのか?
「補助金って、どこかハードルが高いもの」そんなイメージを持っていませんか?
実際、補助金制度は聞いたことがあっても、「どれを使えばいいのかわからない」「手続きが複雑そう」といった理由から、一歩を踏み出せずにいる方が多いのが現状です。特にフリーランスや小規模事業者にとっては、本業に集中しながら書類を揃えて申請する…というのは少し荷が重く感じられるかもしれません。
しかし、2025年度の補助金制度は、そんな“初めての挑戦者”にこそ追い風の内容となっています。
まず大きなポイントは、政府の補助金予算が過去最大級に増加していること。つまり、「もらいやすい年」だということです。さらに、制度そのものが年々簡略化されており、支援者によるサポートが前提となった補助金も登場。初心者が迷わず活用できる環境が整ってきています。
補助金は、事業者にとって「正しく使えば実質的に自己投資の負担を軽減できる非常に強力な制度」です。そして、何よりも重要なのは「制度を知り、早めに行動すること」。
このブログでは、2025年度に初心者でも使いやすく、実際に事業の成長につながりやすい補助金を3つ厳選し、その特徴と申請のポイントをわかりやすくまとめていきます。
第2章:補助金が狙い目な3つの理由
補助金制度は毎年少しずつ変化していますが、2025年度は「今こそ申請すべき」と言えるほど、例年と比べても有利な条件が揃っています。ここでは、その理由を3つに絞って解説します。
理由①:過去最大級の予算規模で、採択チャンスが拡大
まず何よりの朗報は、国から割り当てられた補助金の予算が大幅に増額されていることです。中小企業や個人事業主向けの枠においては、2024年度のおよそ1.7倍にあたる約3,400億円もの予算が用意されており、さらに追加予算が数千億円規模で確保される可能性もあるとの情報も出ています。
この予算の増額は、すなわち「採択される確率が上がる」ことを意味します。補助金は、応募が殺到すればするほど競争率が高くなり、選ばれるのが難しくなっていきますが、予算が潤沢にあるときほど、比較的多くの事業者に門戸が開かれるのです。
特に初心者の方にとっては、「まず1件、補助金を体験してみる」という意味でも、今年はチャレンジに最適なタイミングと言えるでしょう。

理由②:フリーランス・個人事業主に優遇された制度設計
補助金制度は、以前に比べて確実に「小さい事業者」に寄り添う方向に進化しています。
2025年の補助金では、個人事業主やフリーランス、小規模法人といった“零細規模”のプレーヤーが使いやすい設計がなされている点が特徴です。具体的には、補助率(補助される割合)が高くなっていたり、必要な書類や申請内容が簡素化されていたりと、制度面でのサポートが充実しています。
たとえば、最低賃金の近辺で雇用している場合に補助率が2/3まで引き上がる特例などもあり、日頃コスト管理に苦労している小規模事業者にとっては非常に大きな支援となります。
「事務所を持たない個人だから…」といって申請を諦める必要はまったくありません。むしろ、小さな組織だからこそフットワーク軽く補助金を活用しやすいという利点もあるのです。

理由③:採択率90%以上の補助金も。今なら“通りやすい”
補助金の申請で最も気になるのは、「通るのかどうか」という点でしょう。
実は2025年には、採択率が異常に高い枠が存在しています。たとえば、すでに公募が始まっている「IT導入補助金(インボイス対応枠)」では、過去に90%を超える採択率が記録された実績もあり、初心者が最も狙いやすい補助金の1つとなっています。
この補助金では、国に登録された支援事業者が申請サポートに関わることが前提となっているため、「書類をゼロから一人で仕上げる」といった負担が大幅に軽減されるのも魅力です。
また、通常補助金は「文字ベースの申請書」が求められますが、IT導入補助金では選択式の入力が中心で、文字数も最大255字程度と簡単。これにより、「文章力が不安」「書類作成が苦手」といった方でも比較的スムーズに取り組めます。
ただし、こうした高い採択率も公募の前半でこそ発揮される傾向があり、締切が近づくほど倍率が高くなる傾向があります。事実、前年2024年度のIT導入補助金では、最終回には採択率が一気に10%台まで下がるというケースもありました。
つまり、「今ならまだ間に合う」というわけです。スピード感を持って取り組むことが、補助金成功の鍵と言えるでしょう。

第3章:初心者がまず使いたい補助金ベスト3
補助金と一口に言っても、その種類は数十、時期や対象もバラバラです。その中で、初心者でも「実際に使える」「申請が比較的簡単」「成果につながりやすい」補助金を3つに絞ってご紹介します。

1|IT導入補助金(通常枠・インボイス枠・セキュリティ枠)
特徴:とにかく申請が簡単!支援者がつくから安心
「補助金申請は複雑そう…」という先入観を覆すのがこのIT導入補助金です。補助金の中でもっとも初心者向けとされており、入力項目が少なく、支援事業者が申請をサポートしてくれるため、初めてでも非常に取り組みやすいのが最大の特徴です。
用途
- 市販の業務ソフト(会計、労務、顧客管理、POSなど)
- クラウドサービス(最大2年分の費用も補助対象)
- 導入時のサポート費用(マニュアル・活用支援など)
選べる枠と補助額
- 通常枠:補助額5万〜450万円(4機能以上の導入で上限アップ)
- インボイス枠:PCやタブレットも補助対象。最大350万円+端末費
- セキュリティ対策枠:追加申請可能。同時申請もOK
補助率の目安
- 中小企業:1/2(条件により最大2/3)
- 小規模事業者:最大4/5(インボイス枠50万円以下)
注意点
- 設立1期目はNG(納税証明書が必要)
- ハードウェア補助はインボイス枠のみ対象
- 汎用プロセス(AIなど)は単独で申請不可。業務プロセスと併用が必要
「補助金って意外といけるじゃん」と感じられる最初の一歩として、まさに最適な補助金です。
2|省力化投資補助金(カタログ型)
特徴:カタログから選ぶだけ。支援事業者と一緒に申請できる
業務効率化のための設備や機器導入を支援するのがこの補助金。最大の特徴は、あらかじめ登録されたカタログ製品から選ぶだけでOKという点です。IT導入補助金と同様に、申請は支援者と共同で行うため、申請者側の負担が少ない点も魅力です。
補助対象の一例
- 自動調理器具(スチームコンベクション、フライヤーなど)
- レジ・券売機・業務用POS
- パワーアシストスーツ
- 美容・医療系機器(例:脱毛機など)
補助額と補助率
- 5名以下:上限200万円(賃上げ特例で300万円)
- 補助率:一律1/2
利用のポイント
- 既存設備の入れ替えも可能
- カタログ内容は毎月更新されるため、最新版を要チェック
- 複数回申請可能(上限額まで)
設備投資を検討している事業者にとっては、非常に使い勝手の良い補助金であり、業種によっては即戦力となる機器が多く掲載されています。
3|小規模事業者持続化補助金(一般型・特例型)
特徴:補助対象が幅広く、事業計画の作成経験にもなる
少しだけ申請の自由度が上がる分、事業計画書の提出が必要な補助金ですが、その分対象経費の範囲が広く、「自分に合った補助金」を設計しやすいのがポイントです。
「補助金を通して事業計画の考え方を学びたい」「自分に最適な活用方法を見つけたい」と考える人には、最も柔軟な制度です。
補助額と補助率
- 基本枠:上限50万円/補助率2/3
- 賃上げ特例:+150万円(合計200万円)
- 創業特例:+200万円(創業3年以内が対象)
- 赤字事業者:補助率最大3/4に引き上げ
補助対象経費の例
- 広告宣伝費(チラシ・Web・展示会)
- ECサイトや予約システムの開発
- 機械装置の導入、旅費、業務委託費、開発費
- 顧問料、コンサルタント費用
注意点
- Web制作費は全体の1/4以内(上限50万円)
- 商工会の事前相談が必要(公募締切の約10日前までに)
- 事業計画は「販路開拓+生産性向上」が必須テーマ
この補助金で事業計画の作成に慣れておけば、次回以降の大規模補助金にも応用が利くようになります。初心者にとっては、“補助金スキルを育てる”登竜門的存在とも言えるでしょう。
第4章:補助金申請の準備と注意点
補助金は、要件に合っていても“準備不足”で取りこぼしてしまうケースが少なくありません。特に初心者の方がつまずきやすいポイントがいくつか存在します。
この章では、申請前に必ず押さえておきたい基本的な準備と、陥りがちな落とし穴について解説します。

1|電子申請には「GビズIDプライム」が必須
現在、ほぼすべての補助金申請は電子申請(オンライン申請)が基本となっています。これを行うためには、GビズIDプライムアカウントの取得が必要です。
GビズIDは、法人・個人事業主のいずれでも取得可能ですが、紙申請では発行に1週間以上かかる場合もあり、締切間際になると間に合わないリスクもあります。
- 【ポイント】
- 即日発行可能な「電子署名方式」もあるが、マイナンバーカードが必要
- 原則として代表者本人が手続きすること
- 他人に申請を任せるのはNG(不正申請のリスク)
GビズIDをまだ取得していない方は、まず一番最初にやるべきステップです。
2|1期目はNG?申告していなければ申請不可
補助金で意外と見落とされがちなのが、「納税証明書」の提出要件です。
多くの補助金では、過去の確定申告をもとに納税証明書の提出が求められます。つまり、「開業したばかりで、まだ1回も確定申告をしていない」という状態では、たとえ事業を開始していても申請不可なのです。
- 【注意点】
- たとえ売上ゼロでも、申告が済んでいれば証明書は取得可能
- 納税額の大小は問われない(証明できることが重要)
開業後はできるだけ早めに1期目の申告を終わらせておくことで、補助金申請のチャンスを逃さずに済みます。
3|ハードウェアの購入タイミングは「採択後」
「パソコンやタブレットを買ったので補助金申請したいです!」
このような相談はよくありますが、残念ながら補助金は事後申請NGです。
原則として、補助金の採択通知を受けた後に、支援事業者から正式に発注・納品・支払いを行う必要があります。その前に個人的に購入してしまった機器やツールは、補助対象から外れます。
- 【具体例】
- Amazonや家電量販店で先に購入→NG
- 支援事業者経由での注文→OK(採択後)
また、使用する予定のソフトウェアと端末のOSやスペックの互換性も注意が必要です。導入後には実際にツールが動作している画面キャプチャなどの証明も求められるため、準備段階から連携しておきましょう。
4|商工会・商工会議所の事前相談が必要な補助金も
小規模事業者持続化補助金のように、商工会・商工会議所との事前相談や確認書の取得が必要な補助金も存在します。特にこのステップは、締切日の1〜2週間前には済ませておく必要があることが多いため要注意です。
- 【よくある失敗例】
- 締切日だけを見てスケジュールを立てていたら、間に合わなかった
- 予約が取れず、相談ができずにアウト
相談枠が限られているため、補助金の申請を考えたら即日でアポを取るくらいの気持ちで準備を始めることが大切です。
5|申請は自分で!「丸投げ」代行はNG
IT導入補助金などでは、支援者のサポートがつくとはいえ、申請者本人が主体で行うことが前提です。
申請をすべて外注・代行すると、「本人意思の確認が取れない」として不採択になるリスクが極めて高くなります。あくまでも「助けてもらいながら、自分でやる」ことが基本です。
- 【おすすめの進め方】
- 支援者のチェックを受けながら自分で入力・提出
- 申請書にNGワードや定型表現を避けるためのアドバイスを受ける
自信がない方でも、経験豊富な支援者と連携すればしっかりと仕上がります。
第5章:支援者に頼るメリットと費用の話
補助金申請を進めるうえで、多くの事業者が悩むのが「どこまで自分でやるべきか」「誰に頼っていいのか」という点です。実際、補助金制度の中には「支援者(支援事業者)」の関与が制度設計の前提となっているものもあり、うまく活用すれば大きな負担軽減につながります。
ここでは、支援者に頼ることの具体的なメリットや、気になる費用面について整理します。
1|支援者がつく補助金は“申請がラクになる”ように設計されている
特に代表的なのが「IT導入補助金」です。この補助金では、国に登録された「IT導入支援事業者」と呼ばれる企業や団体が、事業者の申請をサポートすることが制度の仕組みとして組み込まれています。
つまり、支援者の存在は「制度の前提」であり、頼っていいどころか、頼ることが“正解”なのです。
支援者の主なサポート内容には以下のようなものがあります
- ツールやサービス選定のアドバイス
- 補助対象の判定や金額シミュレーション
- 書類作成のサポートやチェック
- 申請時の注意点やNG例の指摘
- 採択後の報告書類・実績報告サポート
特に「自分で全部調べて、独学でやる」よりも、支援者のノウハウを活用したほうが圧倒的にスムーズかつ確実です。
2|初心者でも安心。成功報酬型だから「損」はしにくい
費用面について心配される方も多いですが、補助金サポートにおける主流のスタイルは成功報酬型です。つまり、補助金が実際に採択されてから、報酬を支払う形なので、失敗時に費用だけが発生するという心配はありません。
たとえばある支援者のケースでは
- 報酬:補助金交付決定額の20%(税別)
- 着手金:不要
- 支払いタイミング:補助金入金後
このように、「もしダメだったらお金はかからない」という形式を取っているところが多いため、初心者でもリスクなく相談できます。
3|“小規模申請”でも対応してくれる支援者を選ぶコツ
ただし、すべての支援者が小さな申請案件に積極的なわけではありません。中には、「補助額が少なすぎて利益が出ない」という理由で、10万円未満のツール導入や個人事業主の小規模案件を断るケースもあります。
一方で、次のような方針を掲げている支援者も存在します
- 個人事業主・1人会社でも歓迎
- クラウド会計など1万円台のツールでもOK
- 初回相談無料、何度でも対応可能
こうしたスタンスの支援者を選ぶには、以下の観点が参考になります
- 実績件数が多いか
- 小規模事業者向けの事例が紹介されているか
- 無料相談を受け付けているか
- IT以外の設備投資補助金にも対応しているか
支援者は“外注”というより、補助金活用における“伴走者”と考えたほうが良いでしょう。信頼できる支援者との出会いが、補助金申請の第一歩です。
4|支援者と組んだほうが「通りやすい」という現実
実は、支援者の有無が採択率に影響しているケースもあります。
特にIT導入補助金では、支援事業者が申請手続きをサポートすることで、制度に沿った内容で申請がなされ、重大な記入ミスや要件の誤解が減るという構造が生まれています。
これにより、制度全体としての採択率が安定的に高い(インボイス枠で90%以上)という実績につながっているのです。
もちろん、書類を完璧に用意できる方であれば単独申請も可能ですが、時間・労力・精神的負担を考えると、支援者との連携は初心者にとって強力な味方になると言えるでしょう。
第6章:まとめ|まずは一歩踏み出してみよう
ここまで読んでいただいた方なら、補助金が「一部の人だけの特権」ではなく、むしろ小規模事業者やフリーランスにこそ積極的に活用してほしい制度だということがご理解いただけたのではないでしょうか。
2025年度の補助金は、過去に比べていくつもの好条件が重なっています。
- 補助金予算が過去最大規模に拡充されている
- 小規模・個人事業主が使いやすい制度設計
- 支援者と一緒に申請できる補助金が増えている
- 採択率が高く、しかも申請が簡単な枠がある
特に「IT導入補助金」や「省力化投資補助金」のように、支援者がつく=申請のハードルが下がる補助金は、初心者にとって理想的な入り口です。そして、「小規模事業者持続化補助金」のように事業計画をきちんと立てて申請するタイプの補助金に挑戦することで、自社のビジネスを見直し、次のステージへ進むための基礎力を身につけることもできます。
小さく始めて、大きく育てる
補助金は「一発勝負」ではありません。一度経験すれば、申請〜採択〜報告の一連の流れが分かるようになり、次回以降の申請がグッとラクになります。しかも、制度によっては「1年空ければ再申請OK」などのルールもあるため、継続的に活用することも可能です。
むしろ補助金は、「今の事業をより良くするためのトレーニングツール」と考えても良いかもしれません。
- 初めての挑戦はIT導入補助金で、小さく始める
- カタログ型の省力化補助金で機器投資を進める
- しっかり計画を練った持続化補助金で事業を加速する

こうした順番でステップアップすれば、補助金を活用しながら事業そのものを育てていくという健全なスキームができ上がっていきます。
補助金は「知って、動いた人」から手に入れるもの
補助金は公平な制度のように見えますが、実際には“早く動いた人が有利”です。特に予算が潤沢な序盤は採択率が高く、「初めての挑戦だけど通った!」という声も多く聞かれます。しかし、後半になると競争率が上がり、採択率が10%前後まで落ちることもあるのが実情です。
知識ゼロでも大丈夫。まずはGビズIDを取ることから始めてみてください。無料で相談に乗ってくれる支援者もいますし、最初の一歩を踏み出せば、きっと次の選択肢が見えてきます。
終わりに
「補助金ってこんなに現実的だったんだ」「知らなかったら損するところだった」と思っていただけたなら幸いです。
2025年は、補助金にチャレンジするにはまさに“追い風”の年です。
事業の未来を広げるためにも、制度を味方にして、一歩ずつ着実に前進していきましょう。
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